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アンソロジー おやつ

PARCO出版の「アンソロジー おやつ」





アンソロジー おやつ_e0295821_15423688.jpg





以下、目次の抜粋。

「シュウ・ア・ラ・クレェム/森茉莉―
シュークリーム/内田百閒―アップルパイのパイ/森村桂―幻のビスケット/矢川澄子―ドーナッツ/村上春樹―与客点心/辰野隆―甘話休題(抄)/古川緑波―お八つの時間/向田邦子―悲しいカステラ/佐藤愛子―菓子/池波正太郎―甘いものゝ話/久保田万太郎―花見だんご/幸田文―らくがん/井上靖―おはぎと兵隊/久住昌之―秋袷/中村汀女―羊羹/種村季弘―東京の煎餅/小島政二郎―せんべの耳/三浦哲郎―「3時のおやつ」の話/伊集院光―金平糖/團射玖磨―キャラメル/武田百合子―メロン・パン筆福事件/五木寛之―甘い物/安野モヨコ―おやつに食べるもの/南紳坊―今川焼き、鯛焼き/蜂飼耳―本町の今川焼/獅子文六―遠足とチョコレート/林望―ベルギーにいったら女よりショコラだ/開高健/チョコボール―尾辻克彦」

 森茉莉の「シュウ・ア・ラ・クレェム」より、抜粋。
「もとは仏蘭西のものだという、シュウ・ア・ラ・クレェムは、私の唇に入ったことがない。(略)
私の想い出の中に、永遠の王冠のように輝いているのは明治時代に凮月堂で売り出した(シュウクリイム)であって、(シュウクリイム)という言葉の中に私が感じる無限の美味しさと、ふくよかさ、舌ざわり、幼い掌の上にあった重み。
いただきがこんがりと、狐色に焦げた皮の上にふりかかっている粉砂糖は舌の上で、春の淡雪よりも早く溶けて、その甘みは捉えることも出来ないうちに消え、卵黄と、牛乳と、ヴァニラの香いが唇一杯にひろがる滑らかなクリイムは、その日の朝焼かれたものなのに皮になじんで、皮の内側はクリイムの牛乳を吸いこんでしっとりしている。」
この書き出しを読むだけで、他の作家のおやつエッセイは読む必要がない、という位だ。
 「 父親は独逸の雑誌から、いろいろな写真や絵を切り抜いてノオトブックに貼り、私に与えていたが、(略)
ここに掲げた写真のような女の子の可哀らしい表情が、(略)
五枚続きで映っているのがあった。
『あら、クリイムだわ』
『下さるかしら?』
『下さらないの?』
『ああ、下さる』
『下さった』という写真の下の説明につれて(略)最後の写真は両手を打ち合わせるようにして、満面に笑いを浮かべていた。」
「今日も私は神田で、シュウクリイムを二つ平らげてきたが、そこの店のシュウクリイムは昔のに近いので、プルウストが幼いころ、叔母(タント)の家で食べたプチットゥ・マドレエヌを舌の上に再現しながら書いた小説(失われた刻)の一節のように、現実の舌の上に、≪失われた刻≫をのせて、味わっていたのである。」

なお、「小説」には「ロマン」、「刻」には「とき」とルビが振ってある。
 父鴎外に「お茉莉」と呼ばれた彼女は、これだけの育ちでありながら晩年は不遇であったようだ。
 尾辻克彦というのは前衛芸術家で作家でもある赤瀬川原平氏の別名。
猫エッセイも必読である。
 赤毛のアンが裕福な友人、ダイアナのお屋敷に招かれた時のような文章を書いておられるのは、森村桂氏。
「アップルパイのパイ」より、抜粋。
「初等科の四年の時であったろうか、(略)クラスメートの誕生日に、何人もが招待された。(略)
大きな銀のコンポートに、ケーキがどさっと山のように盛られて出されたのだ。(略)
『さあ、みなさん、何でも好きなの、おっしゃって。
パイでも、シュークリームでも、パウンドでも』
いかにも上流社会の人らしい、胸のあいた黒いビロードのワンピースのよく似合う、彼女の従姉だという大柄な人が、みんなを見回す。」
 森村氏は確か、美智子皇后の友人ではなかったか。
ここまで上流の同級生というのは私の周辺にはいなかったが、田舎の中流の上ぐらいの家の子のおうちへ遊びに行ったことがある。
長身の彼女はバレエを習っていて、そんな子は同級生の中にほんの数人だったはずだ。
リビングルームとは別にバレエのお稽古用の部屋があった。

 このアンソロジーの中で一番小説のような読み物は、久住昌之氏と武田百合子氏の作品だ。
久住氏はドラマ「孤独のグルメ」の原作を書いた漫画家といえば、お分かりだろう。
久住氏は戦後生まれなので母上に聞いた話である。
題名だけでは分からないが、武田氏の作品も兵隊が登場する。

 題名でもうノックアウトされるのが開高健氏の作品。
ベルギーで味わったショコラというのは、子供の菓子ではなく、「成熟した年齢の、(略)辛酸をくぐりぬけてきた大の男のためのもの」
「お菓子というよりは最高の料理の一つ」「プロ中のプロが精魂こめてつくるカカオ豆のスープ」だという。
「この店のショコラを知ってからやっと私はなぜ十九世紀のフランス文学やロシア文学にあのようにしばしばショコラが登場して大事がられているのかということがわかったような気がした。」

このエッセイで紹介された店にわざわざ出向いて頂くより他はないそうである。




The Sound of the Waves

Yukio Mishima / Vintage/Ebury (a Division of Random


アンソロジー おやつ

阿川佐和子 / パルコ


by stefanlily | 2014-05-05 16:28 | 文学、books