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芥川龍之介「秋」(加筆)

青空文庫でも読める。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/16_14570.html



芥川龍之介「秋」(加筆)_e0295821_18141795.jpg




秋/芥川龍之介のあらすじと読書感想文
http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/akuta/011.html

以下、本文より。
「一

 信子は女子大学にゐた時から、才媛の名声を担になつてゐた。
彼女が早晩作家として文壇に打つて出る事は、殆誰も疑はなかつた。
中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと吹聴して歩くものもあつた。
が、学校を卒業して見ると、まだ女学校も出てゐない妹の照子と彼女とを抱へて、後家を立て通して来た母の手前も、さうは我儘を云はれない、複雑な事情もないではなかつた。
そこで彼女は創作を始める前に、まづ世間の習慣通り、縁談からきめてかかるべく余儀なくされた。
 彼女には俊吉と云ふ従兄があつた。
彼は当時まだ大学の文科に籍を置いてゐたが、やはり将来は作家仲間に身を投ずる意志があるらしかつた。
信子はこの従兄の大学生と、昔から親しく往来してゐた。」
「所が学校を卒業すると、信子は彼等の予期に反して、大阪の或商事会社へ近頃勤務する事になつた、高商出身の青年と、突然結婚してしまつた。
さうして式後二三日してから、新夫と一しよに勤め先きの大阪へ向けて立つてしまつた。
その時中央停車場へ見送りに行つたものの話によると、信子は何時いつもと変りなく、晴れ晴れした微笑を浮べながら、ともすれば涙を落し勝ちな妹の照子をいろいろと慰めてゐたと云ふ事であつた。
 同窓たちは皆不思議がつた。
その不思議がる心の中には、妙に嬉しい感情と、前とは全然違つた意味で妬ましい感情とが交つてゐた。
或者は彼女を信頼して、すべてを母親の意志に帰した。
又或ものは彼女を疑つて、心がはりがしたとも云ひふらした。
が、それらの解釈が結局想像に過ぎない事は、彼等自身さへ知らない訳ではなかつた。
彼女はなぜ俊吉と結婚しなかつたか? 
彼等はその後暫くの間、よるとさはると重大らしく、必かならずこの疑問を話題にした。
さうして彼是かれこれ二月ばかり経つと――全く信子を忘れてしまつた。
勿論彼女が書く筈だつた長篇小説の噂なぞも。
 信子はその間に大阪の郊外へ、幸福なるべき新家庭をつくつた。
彼等の家はその界隈でも最も閑静な松林にあつた。
松脂の匂と日の光と、――それが何時でも夫の留守は、二階建の新しい借家の中に、活活きした沈黙を領してゐた。
信子はさう云ふ寂しい午後、時々理由もなく気が沈むと、きつと針箱の引出しを開けては、その底に畳んでしまつてある桃色の書簡箋をひろげて見た、書簡箋の上にはこんな事が、細々とペンで書いてあつた。」

 漱石の「それから」の女性版、ともいうべきか。
好きな人をなぜか身内や親友に譲る。
その人ともども、配偶者よりも元の恋人を思いあっているというのは明らかで。
ルービン先生、こちらも翻訳していただきたい!
活き活きした沈黙とは。
新婚家庭のつつましい平和な様子かなあ。信子、妹、夫、従兄も決して幸福ではないのよね。


 芥川を尊敬する松本清張の「遠くからの声」という短編。
姉の夫を慕う義理の妹が、そう思っていない男と結婚して徐々に落剝して辺鄙なところまで流れていく、という内容で書いている。
思ってはならない人を好きになった自分を罰するかのように。


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遠くからの声―松本清張短編全集〈08〉 (光文社文庫)

松本 清張 / 光文社


残酷な王と悲しみの王妃2

中野 京子 / 集英社


by stefanlily | 2015-10-25 18:06 | 文学、books | Comments(0)