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村上春樹「ファミリー・アフェア」

文春文庫収録の村上春樹短編集「パン屋再襲撃」に収録された、「ファミリー・アフェア」より、抜粋。
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まず、冒頭部分。
「 そういうのは世の中にはよくある例なのかもしれないけれど、僕は妹の婚約者がそもそもの最初からあまり好きになれなかった。そして日がたつにつれ、そんな男と結婚する決心をするに至った妹そのものに対しても少なからず疑問を抱くようにさえなっていた。正直なところ、僕はがっかりしていたのだと思う。」
 春樹さんもいくつか翻訳をしておられる作家のジョン・アーヴィングに「ホテル・ニューハンプシャー」という長編(この作品は別の翻訳家で読んだが。春樹さんが翻訳を手がけているかどうかは未確認)があるが、映画にもなっている。「ファミリー・アフェア」は、ジョディ・フォスターが演じた姉と、ロブ・ロウが演じた弟との関係を少し思わせる。
 長編を読む気にはなれない作家なのだが、短編ならば読めるだろうと思って少しずつ読んでいる。これが、なかなか面白い作品揃いである。複数の作品で、スパゲティーへのこだわりがみられるが、この作品もそうだ。
「そもそもの発端は日曜日の昼間に妹が二人でスパゲティーでも食べに出ようと僕に持ちかけたところから始まっていた。(略)そして我々は駅前に新しくできた小奇麗なスパゲティー・ハウスに入った。(略)
問題は運ばれてきたスパゲティーの味が災厄と表してもいいくらいひどかったことだった。(略)僕はなんとか半分だけ食べてからあきらめ、ウエイトレスにあとは下げてくれと言った。
妹はそんな様子をちらちらと見ていたが、そのときは何も言わずに自分の皿の中のスパゲティーを最後の一本まで時間をかけてゆっくりと食べた。(略)
『まずい』と僕は簡単に言った。
『半分残すほどまずくないわ。少しは我慢すればいいのに』
(略)『お前なんて言わないでよ、お願いだから。お前なんていうとまるで年取った夫婦みたいに見えるじゃない』
(略)二十歳をすぎてから、彼女は自分のことをお前ではなくて君と呼ぶように僕を訓練していたのだ。その違いがどこにあるのは僕にはわからない。」
エッセイ集の「村上朝日堂」に春樹さんの食生活についても書かれているが、「米を食べない」「豆腐が主食のようなもの」という描写には、自宅に招かれた友人たちのように私も絶句したくなる。それでスパゲティーなのかな、という気もしてきた。食卓の描写は小説の中にもたくさん登場するが、やはり白いご飯の描写が殆ど見当たらないのだ。
「しかしそのコンピューター・エンジニアとつきあいはじめてから、(略)服装に凝りはじめたおかげで下駄箱は彼女の靴でいっぱいになり、(略)よく料理を作り、よく掃除をするようになった。僕にもいささかの覚えがあるけれど、女の子がそういう兆候を見せはじめたら、男は一目散に逃げるかあるいは結婚するしかない。」
妹の婚約者というのが「渡辺昇」というのだが、「僕」と「妹」の名前は小説の中に描写されていない。この文春文庫には「ねじまき鳥と火曜日の女たち」も収録されているが、飼い猫の名前が「ワタナベ・ノボル」である。村上作品に何度も登場する名前のようである。
渡辺昇は兄妹の住む家に訪ねてきて、妹が食事(スモーク・サーモンとヴィシ・ソワーズとステーキとサラダとフライド・ポテトというメニュー。やはりライス、は無い)を用意する間に彼は「お兄さん(と呼ばれることにも難色を示す『僕』)」と話したり、壊れたステレオ・セットを修理したりしている。
「彼が軽いボーカルを聴きたいというので、妹はフリオ・イグレシアスのレコードをかけた。フリオ・イグレシアス!と僕は思った。やれやれ、どうしてそんなモグラの糞みたいなものがうちにあるんだ?
『お兄さんはどういう音楽が好きなんですか?』と渡辺昇が訊いた。
『こういうの大好きだよ』と僕はやけで言った。『他にはブルース・スプリングスティーンとかジェフ・ベックとかドアーズとかさ』
『どれも聴いたことないな』と彼は言った。『やはりこういう感じの音楽なんですか?』
『だいたい似てるね』と僕は言った。」
 オーディオ・セットを修理する腕があっても、音楽にはまるで詳しくない。スプリングスティーン、ジェフ・ベック、ドアーズを聴く層がフリオ・イグレシアスを「モグラの糞みたいなもの」と思っていることにも気がつかない。
「ステレオ・セットのスイッチを入れて、小さな音でリッチー・バイラーク・トリオのレコードをかけた。真夜中に酔払って帰ってきたときにいつも聴くレコードだ」
良く知らない間柄の人間に向かって「どういう音楽が好きなんですか?」という質問にジャズのミュージシャンの名前を答えたところでまるで無関心な反応を示される可能性が高い。だから、ロックのアーティストの名前を出したのにそれすら、「どれも聴いたことないな」という反応だった。
やはり「村上朝日堂」の中に「フリオ・イグレシアスのどこがいいのだ!」というエッセイがあるので、それを思い出す。いけすかない人間を音楽の好き嫌いで描写する春樹さんを面白がる私である。

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室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

室生 犀星 / 筑摩書房


パン屋再襲撃 (文春文庫)

村上 春樹 / 文藝春秋


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by stefanlily | 2014-07-20 16:50 | 文学、books